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古い鏡筒をお持ちの方に朗報。 31.7mm (アメリカンサイズ)→50.8mm(2インチ)アイピース サイズアップ アダプター(アストロラーベ/天文ハウストミタ)

古い鏡筒で2インチアイピースを使いたい!



 20年位前の望遠鏡(鏡筒)の接眼レンズの標準的なサイズは24.5mmで(※)、少し大きめの31.7mm(アメリカンサイズ)は高嶺の華でした。さらに大きな2インチアイピースを装着できる望遠鏡は、大変少なかったと記憶しています。そもそも古い鏡筒のドローチューブ径は細いものが多く、物理的に2インチサイズのアイピースを装着することは困難でした。

※当時の光学設計は、24.5mmアイピースの使用を前提に考えられていると思われます。



 「大変古い」部類に入る高橋製作所 TS式65mmV-1型鏡筒(D=65mm f=800mm, 1976年〜1980年代?)の接眼部。ドローチューブ径が45mmしかなく、とても2インチのアイピースは使えそうもありません。
 発売当時は、24.5mmのアイピースが標準仕様で取り付けられ、別途31.7アイピースアアダプターを使えば、アメリカンサイズのアイピースが使えました。なお、アイピースアアダプターのドローチューブ側はM36.4mmP=1オス仕様なので、タカハシ Or 40mm (TS-012)も使えます。


 こんなに古い鏡筒でも2インチアイピースをなんとか使えないか?現代の最新光学設計のアイピースで見たらどんな風に見えるのか?と、アダプターを探していましたが、検索結果に出てくるものは「2インチ→アメリカンサイズ」に変換する物ばかり。そんな時に九州の老舗天文ショップ 天文ハウスTOMITAさんのTwitter ツイートが目に止まりました。



※【 ASTROLABE 】 は天文ハウスTOMITAのオリジナルブランド


 どれどれ?何か面白いものはあるのかな?とWEBストアを見てみると、そこには探していたアメリカンサイズのスリーブに2インチアイピースを装着できる31.7→50.8アイズアップADがありました!10% OFFセール中で送料込みでも3000円ちょっとだったので早速注文。九州から東京への配送は、少し時間がかかりますが、5/29夕方に注文して6/1朝には到着。早速、丁寧な梱包を開けてみると、欲しかったアダプターが鎮座していました。




ではさっそく2インチアイピースを取り付けてみましょう。


Tele Vue Ethos 21mm。1kg超のスーパーヘビー級のアイピースです。アダプターは結構大きなサイズですが、小さく見えてしまいますね(^^;;

北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ2019のMORE BLUEさんのブースで入手したEP073-2インチ32mm SWA 70°広角アイピース。賞月観星でも同じような物がありますね。ちょうどいいサイズ感。


賞月観星 XWA 13mm。鏡筒が長いのですが、太さはあまりないのでそれほど負荷は無いかも。


アダプターを介してV-1鏡筒に取り付けてみたら、凄い見た目に(笑)


このアングルから観ると益々凄いことに!



そもそもイーソス21mmは、V-1鏡筒よりも太いのです(笑)
  V-1鏡筒径: 68mm
  イーソス: 72mm


32mm SWA 


賞月観星 XWA 13mm。


実はこのアイピースは2インチバレルを回して外すと、アメリカンサイズになるのです。



実際に装着して視野はケラれるのか?フォーカスは合うのか?


 アメリカンサイズと2インチサイズで19.1mmも直径が違います。いったいどのくらい視野がケラれるのでしょうか?


 
視野は半分くらいになってしまうのかなぁーと予測。


 

 実際の視野の様子を写真でお見せできればいいのですが、ただでさえも広大な視野が得られるこれら3種類のアイピースは、コリメート方で撮影ができません。



まずイーソス21mmを装着して地上風景を見てみると・・・・
ほとんどケラれていません!?!よくみると、視野環部分が見えず、感覚的に5%程度視野が狭くなっているように見えますが、TSA-120鏡筒で見た感覚の『宇宙船の窓からきょろきょろと見回している感覚』が十分に味わえます。もちろん、見え方は最高ですし、色収差を殆ど感じさせられません。※個人の感想です。



 次に賞月観星 XWA 13mmを見てみると・・・・・・まったく視野はケラれていません。これは恐らく元々アメリカンサイズに対応している為だと思われます。こちらも色収差を殆ど感じません。※個人の感想です。



 最後に32mm SWA。どのくらいケラれているのかは計測はできませんが、約10%程度視野が狭くなってる印象です。それでも十分に使えます。このアイピースは、周辺像は価格相応のモノなので、V-1鏡筒で使用しても変わりません。ただ、中心像は良好です。※個人の感想です。



3本の2インチアイピースでテストした結果をまとめると・・・


予想を裏切られましたこれ、十分使えます。


 ちなみに、テレビュー エバーブライト ダイアゴナルミラー DDP-8004を装着して見ましたが、この環境ではフォーカスが合いませんでしたし、総重量が1.5kgを超えてしまうので、貧弱なV-1ドローチューブには負荷がかかりすぎて危ない(笑)




テレビュー2x パワーメイト、2インチをつけましたが、像の悪化が見られました。TSA-120ではそんな事無いのになぁ。。



アダプターを装着する上で気をつけないといけない点

装着してフォーカスが合うのか?

アダプターのアメリカンサイズ側は21mm、2インチ側は39.5mm程度の光路長があります。アダプターを介さずに2インチアイピースでフォーカスが合うPOINTから対物レンズ側(in側)に2cm程度ドローチューブに余裕が無いと、フォーカスは合わないでしょう。ですので、比較的長いドローチューブ長を備える焦点屈折鏡筒などには十分使えると思いますがドローチューブ長が短いニュートン反射などには使えない可能性があります。

丈夫な接眼部

重量のある2インチアイピースを支える事ができる丈夫な接眼部であることも必要条件です。貧弱なラック・アンド・ピニオン式のフォーカサーだと、重量に耐えられずズルズルとフォーカス位置がずれていってしまう可能性があります。






 古い時代の鏡筒は、物理的な理由等で古い設計のアイピースでしか観ることができませんでした。このアダプターと最新設計の2インチアイピースを使えば、当時想定された性能を超えた像を観ることが出来る可能性があります。


追記

31.7mm →50.8mm アイピース サイズアップ アダプターの視野を更に広げる

 最近アイピースを固定するリング状の金具が、バレル部分にあるアイピースの脱落防止用溝にはまり込んで抜けなくなる事故があることを知りました。本アダプターも同じような構造です。リングを触った感じでは、簡単に緩むようなタワミはまだ発生していませんでしたが、安価なアダプターで高価なアイピースを無駄にしてしまっては、とても残念な事になります。そこで、以前スターベースで入手したスーパー2インチ延長筒50L(台湾 Donell Optronics社製)を取り付けてみたら、なんと視野が広がりました。
 光路長を延長した事によって、アイピースによってケラれていた部分が減少したためだと思われます。まさに一石二鳥。



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