これは必見!【製造現場にカメラが入った】「天体望遠鏡はこうして作られる!知られざる製造の舞台裏」〜SD103SIIとSXD2赤道儀のディテールを追う〜

本記事の概要

ビクセンの天体望遠鏡と赤道儀がどのように作られているのか、その製造現場に迫る貴重な映像。SD103SII鏡筒の光学調整や、SXD2赤道儀の精密な組み立て工程が詳細に紹介されています。天文機材ファンなら必見の、職人技が光る映像です。


ふとYouTubeを眺めていたところ、おすすめに現れた一本の動画に目が釘付けになりました。

プロセスXさんによる「天体望遠鏡はこうして作られる!知られざる製造の舞台裏」という動画で、ビクセンの天体望遠鏡製造工場を丁寧に取材した内容です。



かつて高橋製作所の製造現場がコズミックフロント☆NEXT『スターゲイザー 星空の冒険者たち』で紹介されたことはありますが、Vixenの組み立てラインがここまでオープンになるのはかなり貴重」とりわけ、SD103SII鏡筒SXD2赤道儀の製造過程が非常に詳しく紹介されており、光学系/メカ系両方に興味がある天文ファンにはたまらない内容です。

■ SD103SII 鏡筒の製造:ラック&ピニオン、セル、そして光軸調整まで

まず取り上げられるのは、SD103SII鏡筒。ビクセンが誇るスーパーEDガラスを採用したフラッグシップ機で、SD81SIIやSD115SIIとともにシリーズを構成しています。

動画では以下のような工程が詳細に描写されます:

ラック・アンド・ピニオンのグリース塗布と噛み合わせ調整

 → スムーズでガタのないフォーカス動作を得るために重要な工程。実際に噛み合わせを確認しながら組み込まれていく様子が印象的です。

ドローチューブの鏡筒側への墨塗り処理

 → 迷光を抑えるための定番処理ですが、塗布ムラが性能に直結するため、手作業で均一に仕上げる技術が光ります。


対物レンズセルの組み上げ

 → レンズ自体へのストレスを避けながら組み立てる様子が見られます。

人工星を用いた光軸調整と星像チェック

 → 組み上げ後、工場内の人工星を使って実際の星像を確認。光軸ズレや非点収差が出ないよう、丁寧な調整が加えられます。



■ SXD2赤道儀の内部構造:ギア、ベアリング、極軸望遠鏡、モーター

次に紹介されるのはSXD2赤道儀の組み立て工程です。ハーモニックドライブ全盛の時代においても、高精度ウォームホイール駆動を堅持するSXD2の魅力は根強く、動画では以下の構造が明らかにされます。一台一台丁寧に組み上げられていく様子が映し出されています。

ウォームホイールとウォームギアの摺動部分、ベアリングへのグリース処理

 → 摩耗を抑えながらスムーズな追尾性能を確保するため、専用のグリースが丁寧に塗布されます。

極軸シャフトの挿入と芯出し調整

 → 極軸精度は赤道儀の命。丁寧な作業で組み上げられていきます。

極軸ホイールの取り付け

 → ウォームギアとホイールのバックラッシュが最小になるよう微調整。



モーターと基板の実装

 → ステッピングモーターと駆動基板が搭載されます。

極軸望遠鏡の軸だし調整

 → 本体側極軸と、極望の十字線が同軸になっているかどうかの調整。視野中央のずれを抑えるための緻密な作業です。


■ 工業製品でありながら「手仕事の極致」

組み立て工程の至るところに人の手が入り、グリースの量、締め付けの強さ、微妙な組み付け角など、マニュアル化しきれない「勘と経験」が息づいています。これはまさに、「工作精度」と「光学性能」のせめぎあい。

完成品の天体望遠鏡が「ただの製品」ではなく、個体ごとに微妙な個性があると感じる理由が、ここにあるのだと再認識。


■ 見ると観測機材をもっと大切にしたくなる動画

自分の機材が、こうした工程を経て完成し、出荷されてきたのかと思うと、ただの道具ではなく「相棒」のような存在に思えてくるのではないでしょうか。


この動画は、すべてのアマチュア天文家にとって必見の一本です。

「天体望遠鏡はこうして作られる!知られざる製造の舞台裏」はこちら


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