にほんブログ村天体写真ランキングに参加中です。ワンクリックで応援をお願いします!

M5StackでASCOM Canon Lens Controller Mark IIを動かす!パソコン不要のスタンドアローンコントローラー

キャノンEFマウントレンズを制御するアダプター 「ASCOM Canon Lens Controller Mark II」をマイコンで操作できるアダプター


This device is stand alone controller for ASCOM Canon Lens Controller Mark II. You can adjust an aperture and a focus of Canon EF mount AF lens without PC.  Some of SIGMA EF mount lens is also controllable. This content is written in Japanese, you can translate this page by pressing the Google Translate button located at the top of the left column of this page.

冷却CMOSカメラにキヤノンのEFマウントAFレンズを使う場合、レンズの機能上、絞りが開放になってしまいます。開放から一段、二段絞れば良像を得られるのですが、通常の方法では難しく、殆どの場合開放で使用していました(一度デジタル一眼レフカメラにレンズを装着し、被写界深度確認ボタンを押して絞りを動作させた状態でレンズをカメラから取り外せば、その絞り値を維持できますが、非常に面倒です)。また、ピントリングを回転させるフォーカス合わせは、シビアなフォーカスレベルが要求される天体写真では困難を極めます。

ASCOM Canon Lens Controller Mark IIはCanon EFマウントレンズの絞りやフォーカスをASCOM (AStronomy Common Object Model)経由のPCでコントロールするマウントアダプターで、EFマウントレンズならばCanonでもSigmaでも大抵のレンズの絞りやフォーカスを制御できる素晴らしいコントローラーです。

ただ、唯一難点だったのがその制御にPCが必要なこと。PCの専用アプリやASCOM互換のアプリケーション経由ではないとコントローラーが使えなかった為、ASIAIRを使用したモバイル運用では非常に面倒なデバイスでした。

スマートフォンなどで制御ができないのかとずっと思っていましたが、なんと鳥取天文協会さんベルガモットさんがM5Stackというマイコンで操作ができるデバイスを開発。今回はこの素晴らしいデバイスをご紹介いたします。

注1※ASCOM コントローラーは、2022年3月現在、非常に入手が困難になっています。
注2※FTDI社のチップを搭載しているASCOM Canon Lens Controller Mark IIのみ対応です。初期型はCH340コントローラーなので対応していません。

M5Stackの組み立てから実際の星を使ってフォーカスを合わせるデモンストレーションをご紹介します。この動画は最新のAI音声合成技術「VOICEPEAK」を使用しています。
English automatic translation subtitles are available.


詳細は鳥取天文協会さんのホームページもご覧ください。

コントローラーに必要なもの

これらのパーツは、marutsuさんやスイッチサイエンスさん、アマゾンなどで入手可能です。

M5Stack Basic
一番基本になる部品です。小さなリチウムイオン電池を内蔵しています。4700円程度。


M5Stack用MAX3421E搭載USBモジュール
USBホストモジュールです。1300円程度。ただ、このパーツは現在非常に入手しづらいパーツです。見かけたらすぐにゲットしてください。2022/3/31 スイッチサイエンス社に在庫多数入荷しました。アマゾンでも入手可能になりました
M5Stack用バッテリーモジュール
大容量のリチウムイオン電池モジュールです。なくても構いませんが、あったほうが良いと思います。900円程度。アマゾンでも入手可能です。


MicroSDカード (2GB程度で十分)
M5StackにEFレンズ情報のテキストファイルを保存するために必要です。

まずは動画をご覧いただき、これらのパーツを組み立てて下さい。パーツを組み立てましたらソフトウェアのインストールを行います。

M5Stackへのソフトウェアのインストール

1)ソースコードをM5Stack内にコンパイルするために、Arduino環境が必要です。WindowsでもMacでも構築できますが、Windowsのほうが良いでしょう。ARDUINO IDEというフリーのアプリケーションを使用します。構築方法はこちらを御覧ください。順番通りに行えば簡単に行えます。

2)次にUSBホストのライブラリをインストールします。アプリケーションメニュー ツール>ライブラリを管理 を選び、表示されたライブラリーマネージャから「USB Host Shield Library 2.0」をインストールします。
※検索欄にmax3421を入力すると表示されます。


3)本ソフトウェアのソースコードをGgitHubからダウンロードしてください。

4)アプリケーションメニュー ファイル>環境設定 を開き、スケッチブックの保存場所がどこにあるのかを確認して下さい。


5)この場所にGitHubからダウンロードしたCanonLensControllerMarkII_M5Stackフォルダを入れて下さい。

6)アプリケーションメニュー ファイル>開く... からフォルダ内 CanonLensControllerMarkII_M5Stack.inoファイルを開きます。

7)Windows PCとM5stackのUSB Type Cコネクタを接続します。

8)アプリケーションメニュー スケッチ>マイコンボードに書き込む を選び、コンパイルします(少々時間がかかります)。これでソフトウェアのインストールは完了しました。

9)テキストファイルにレンズの設定を書き込みます。
#lens1=Canon EF 300mm f/2.8L IS II USM | 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5 5.0 5.6 6.3 7.1 8 9 10 11 13 14 16 18 20 22 25 29 32
というテキストの場合、
【レンズリストの1番目に「Canon EF 300mm f/2.8L IS II USM」が表示され、絞りをF2.8〜F32まで変更できますよ】
という設定ファイルです。F20やF32などを使用しない場合は省略してもかまいません。

使用するレンズの設定を書き込み終わったら、lens.txtというファイル名で保存し、マクロSDカードにコピーします。これをM5Stackの本体のメモリーカード挿入口に入れます。


当初バッテリー残量表示がなかったのですが、ベルガモットさんに公開されているプログラムコードを提示したところ、あっという間に実装していただきました!凄い!これでバッテリー残量を心配せずに運用が可能になりました。

使い方の注意点

1)使用方法は冒頭の動画を御覧ください。

2)フォーカスポジションは、実際のレンズのフォーカス位置がどこであろうが5000を表示します。予めレンズのフォーカスを∞付近にセットしておくと良いでしょう。

3)フォーカスのワンステップはとても微細な動きなため、分かりづらいかもしれません。

4)寒い環境では電池の消耗が激しくなる恐れがあります。一度設定したらコントローラーを外し、電源OFFにしておくと良いでしょう。どうしても連続運用を行いたい場合は、 USB-Type Cから電源を供給すれば充電しながら使えます。

SIGMA 15mm F2.8 EX FISHEYE


CANON EF300mm F2.8L IS USM




最後に、この素晴らしいデバイスを開発していただいたベルガモットさんにお礼申し上げます。

コメント

この記事がよく読まれています