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満月の夜でも天体写真! 近赤外線領域(NIR)最強のカメラZWO ASI462MC

 


3台目のZWO CMOSカメラ

ども、天文楽者のRYOです(←これ言ってみたかったw)。今回は天文楽者の「楽しい」と「らく」の両方を満たしてくれる新型CMOSカメラのお話です。

これまでZWO製のCMOSカメラは、冷却カラーCMOSカメラのASI 294MC Proをメインに使い、ガイドカメラにモノクロ 非冷却CMOSカメラのASI 120MM-miniを使用していました。 m4/3(マイクロフォーサーズ)サイズ ASI 294MC Pro(4144 × 2822 px, 1200万画素)は非常に万能で、RASA8 (焦点距離400mm)では35mmフルサイズ換算で800mm(2倍)になり、アンドロメダ銀河やM42オリオン座大星雲、M45プレアデス星団などが丁度よく収まる画角で撮影ができます。一方、系外銀河や惑星状星雲など視直径が小さい天体は、焦点距離が短い鏡筒では本当に小さくしか写らず、さらにエクステンダーレンズ等の補助光学系も使えないのでいままで撮影対象から外していました。

今回入手したZWO ASI462MCは、1/2.8インチ(1936x1096 px, 200万画素)と非常に小さいサイズ。そのため、クロップ効果によってフルサイズ換算で6.25倍、RASA8がF2の明るさのままで、なんと2500mmのウルトラスーパーハイスピードの超焦点(相当)のシュミットカメラに大化けするのです。

通常の鏡筒に使用すれば、簡単に拡大倍率を獲得できるので、このカメラが専ら惑星や月面専用と謳われているのはそのためです。ただ、今回入手した理由はクロップ効果を狙ったわけではなく(後に判るが、この効果が絶大になる)、このカメラは近赤外線領域において、ZWO史上最高性能の感度を持っているためなのです!


SONY IMX462は近赤外で超高感度


https://astronomy-imaging-camera.com/product/asi462mccolor

このカメラはSONYの最新CMOSチップSONY IMX462を搭載しています。このチップは天体用というよりもドライブレコーダや防犯カメラ等、赤外線照射装置を駆使した暗視監視用カメラとして開発されたとか、されないとか。

上図はZWOのHPから引用させていただきましたが、ASI462MCの感度を示したものです。普通のカメラだと700nmより長波長側は、ずどんと落ちるか、Redチャネルが少し頑張っている程度なのですが、このカメラは、なんとRGB全チャネルが800nmをピークに1000nm オーバーまで感度が高くなっているのです。これは凄い。QHYCCDでもIMX462搭載カメラは出ているのですが、うちのシステムはASIAIR PROを母艦としているため、ZWOカメラ以外の選択肢はありませんでした。



パッケージの内部。本体にはCマウントレンズの2mmCCTVレンズ、CマウントーT2マウント変換アダプタが同梱されています。このCCTVレンズは後にASI 120MM-miniに取り付け、望遠鏡監視用カメラとして使うことに。


まずはサンニッパでテストしてみた

色々立て込んでいたため、RASA8でテストする前に手っ取り早くサンニッパに装着してテスト撮影してみました。300mmでも1875mm相当の焦点距離(拡大)になります。




サンニッパにカメラとサイトロン IR 640 PROフィルターを取り付け、撮影してみると・・・Gain Max 30秒だと完全に露出オーバーです。露出時間をどんどん短くしていき、ついに1コマあたり10秒がベストと分かりました。これをASIAIR PROのライブスタックで完成させていきます。そしてそして月が出ている明るい夜に撮影したM81銀河がこれです。

 


まさかRASA 8が系外銀河撮影にベストな機材になるとは

いよいよ本命のRASA 8に取り付けてみます。実は、RASA 8は可視スペクトル(400~700nm)を超える390~800nmの波長範囲にわたって性能を発揮できるように設計されているそうです。つい最近まで、天体を近赤外線領域で撮影することなど考えていなかったので、これは全くの僥倖としかいいようがありません。ほんと、RASA8買ってよかったぁ(^^)


RASA8のスポットダイアグラムをみると、700-800nmでも11μm以内に収まっていることが分かります。しかも視野中央よりも周辺部のほうがシャープになっています。



超軽量・コンパクトサイズのカメラなのでとても収まりが良い


直径が補正レンズ群の前のリングよりも二回り以上小さくとてもコンパクトに収まっています。このカメラ、USBケーブルがASI294MC Proのようにカメラの後ろではなく横から出すようになっているので、ケーブルの取り回しに苦労しそうと思ったのですが、そんな心配は無用でした。フードの隙間からケーブルを取り出すことに成功し、さらに自作スパイダーの位置と簡単に一致させることができたのです。


ちょっと見にくいですが、下側のスパイダーと一致するようにUSBケーブルを出すことに成功。これで変な光条を出さずにすみます。


鏡筒をM81へGo Toさせ、10秒露出を行ってみると、少し明るすぎます。凄い。
そこで5秒露出まで落とし、200枚ライブスタックを実行すると・・・

まさか銀河を5秒露出で撮影できるとは思っても見ませんでした(^^) 


IR 640Proフィルターは、その名の通りHα領域も透過させますが、流石に銀河の赤ぽっちまでキチンと色を出すことは難しかったようです。しかし!5秒露出 x 300枚ライブスタック(総露出わずか25分!)でここまでできれば、それはもう楽しいですよ!天文「楽」者のワタクシとしては最高のシステムです! 2500mm相当の焦点距離で長時間露光を行うのは超大変(そのような鏡筒を持ったことが無いので想像の範囲ですが・・)で、光学系の明るさ・赤道儀の追尾性能・振動・共振・風・シーイングなどが撮影環境に対してもろに影響を与えてしまいます。F2の明るさで2500mm、わずか5秒露出で200枚自動で重ねるライブスタック撮影は、本当に楽なシステムです。

満月の夜に銀河を撮影

この日は丁度満月で、普通ならば天体写真なんて何も撮れないのですが・・・・(オプトロンのL-eNhanceなど半値幅が狭いフィルターを使えば撮れますが・・)


対象天体は銀河や球状星団等に限られてしまいますが、もう満月だから天体写真が撮れない〜〜〜〜って言えなくなってしまいました(^^)

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もちろん200万画素という今の時代では低画素なCMOSでは大きな引き伸ばしには向きません。あと、今課題になっているのが「縮緬ノイズ」と呼ばれる現象が発生している事です。この対策にはゲインを下げる、ディザリングをする・・・など色々検討できる材料があるので、今後追って対策をしていきたいと思います。 


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